オミタ・トリオ(大久保忠素と水島あやめと高尾光子)

2014/02/15

昭和2年から3年にかけて、監督・大久保忠素、脚本・水島あやめ、主演・高尾光子で製作された映画は4作品ある。「孤児」(昭和2年9月公開)、「天使の罪」(昭和2年12月公開)、「故郷の空」(昭和3年2月公開)、「をとめ心」(昭和3年9月公開)で、いずれも水島が原作・脚本を書いている。

当時、「キネマ旬報」編集部が「ニホンもののがほう」というページで、スチール写真付きで各社の公開作品を紹介。松竹蒲田作品から「故郷の空」がピックアップされ、そのキャプションに「大久保忠素の監督、高尾光子嬢の主演、水島あやめ女史の脚色この三人のトリオを各々頭字をとってオミタ・トリオというのだそうです。」とある(昭和3年2月21日号)。

いつの時代にも言える事だが、愛称をつけてもらえるというのは注目の度合いと人気の高さを示している。その裏付けを4作品の評価に見ることができる。順に紹介してみよう。

「孤児」には「興行価値―日本人一般観衆の好きな題材だ。大いにうけるべし。」(「キネマ旬報」昭和2年10月21日号)。「天使の罪」には「興行価値ー高尾光子主演、それだけである種の客は十分来よう。」(「キネマ旬報」昭和3年1月21日号」)。「故郷の空」では「孤児」「天使の罪」の如く大久保、水島、高尾のトリオともいうべきもので興行価値はうんぬんすべきまでもない。」(「蒲田週報」昭和3年1月29日号)。「をとめ心」には「優秀逸作、涙の映画と定評ある水島、大久保、高尾のトリオである。」(「蒲田週報」昭和3年8月19日号)。「興行価値―高尾光子主演の映画は地方に行けば行くほど、この方面の価値が出てくる。」(「キネマ旬報」昭和3年10月1日号)。

「日本人一般観衆が好きな題材」すなわち「涙の映画」で、「地方に行くほど価値が出てくる」…………「オミタ・トリオ」は松竹蒲田映画において、ひとつの路線を確立し、ある種の観客層をしっかりと掴んでいたことがわかる。

オミタ・トリオ

「キネマ旬報」昭和3年2月21日号

2014/02/15

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