木曾心中

1927年 映画脚本・原作

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原作:水島あやめ
脚本:水島あやめ
監督:吉野二郎
撮影:猪飼助太郎
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
藤木お蘭 川田芳子
尾形桂之助 堀田金星
山下周作 大月義光
周作の妹光江 田中絹代
蝮の銀次 尾上梅助
小猿の三太 市川松茸

ジャンル:時代劇、サイレント、6巻
封切日:昭和2年8月26日
封切館:浅草電気館

【あらすじ】
お蘭と父の門弟桂之助とは深く思い合う仲だった。その恋に試練がやってくる。お蘭を恋する周作と、桂之助を恋する妹光江は、互いの恋を成就させようと密かに謀ってお蘭を欺き、周作はお蘭の操を奪ってしまう。それを知った桂之助は、お蘭の言い訳を聞こうともしない。信ずる人々に裏切られたお蘭は、絶望から命を絶とうとするが、なんとか救われる。三年の後、お蘭は世を呪い人を恨み、鬼になろうと決心して女賊になっていた。若い男女と見ると、ことさらむごく苦しめる。しかし月日が経つにつれてお蘭は自分の考えが間違っていたことに気が付く。人を苦しめれば自分の傷が癒えると思っていたことが、大きな間違いだったと。お蘭の心の中に激しい苦悩が芽生える。そんなある日、お蘭は山中で思いがけず尾形桂之助に邂逅する。お蘭は長い間の恨みから、一度は冷たく去ろうとするが、病に苦しむ彼の姿に、昔の恋人に対し断ち切れない愛着を覚える。そして、桂之助を隠れ家に連れていき介抱するのだった。一日一日過ぎていくうちに、お蘭の心のうちに、次第に昔の恋人に対する優しい愛が復活してくる。しかし、お蘭の心の変化に嫉妬した蝮の銀次によって密告され、追っ手に追い込まれた桂之助とお蘭は折り重なって刃に倒れてしまう…

【解説】
監督の吉野二郎は、従来の女賊ものとは全く演出を変え、青梅、飯能方面の山岳、渓谷、渓流などを背景にロケを行った。恋愛乱闘の絵巻が美しくされ、涼味豊かに川田と堀田が水中で展開した殺陣は近年稀れの壮絶さだったという(「蒲田週報」昭和二年七月十七日号)。
メガホンを握った吉野二郎は時代劇の監督で、水島唯一の時代劇である。この年十一月、松竹蒲田は時代劇部を廃止し、京都へ移動させる。
(20200929)

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