鉄の処女

1928年 映画脚本・原作

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原作:水島あやめ
脚本:水島あやめ
監督:大久保忠素
撮影:杉本正次郎
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
春田鏡子 松井千枝子
妹奈美子 田中絹代
今井信二 結城一朗
早川輝男 小村新一郎
姉妹の伯母 鈴木歌子

ジャンル:恋愛もの、サイレント、8巻
封切日:昭和3年5月25日
封切館:浅草電気館

【あらすじ】
幼い頃に父母と別れ孤児となった鏡子と奈美子は、伯母の愛情に育まれ、人々の注目を集める美しい女性となった。ところが貞淑温順な姉鏡子は、なぜか「鉄の処女」と呼ばれるようになった。それは何故か?鏡子には、かつて今井信二という恋人がいた。信二は、鏡子が一夜にして「鉄の処女」という恐ろしい名が付けられたことが理解できない。奈美子が尋ねても、鏡子は「世間の人が何といっても、貴女だけは信じて」と言うだけ。鏡子が変わってしまったのには理由があった。ある夜、病気の伯母の見舞いに来てくれた信二を送った帰り道、鏡子は早川に乱暴されてします。傷ついた鏡子は、信二の愛を受ける価値がなくなったと思い込み、自ら「鉄の処女」という汚名を着ることを選んだのだった。そして、伯母の家の相続も妹に譲ろうと心に決める。ところが、そんな鏡子の前に、奈美子が恋人を紹介しようと連れてくる。会ってみると、それはあの早川ではないか。鏡子は、妹を護る決意を固める…。

【解説】
「恋愛混戦」につぐ水島の恋愛ものの第二作目。前作は喜劇だったが、この作品は姉妹を主人公にしたシリアスなもの。いずれも女性映画に力を入れて松竹蒲田路線の作品。
興行価値について「キネマ旬報」は、「妹のために、身を捨て恋を捨てて悪魔の毒手と戦う姉を描いた現代劇。十分うける要素をもっている」と評している。松井千枝子と田中絹代という松竹蒲田の看板女優がダブル主演ということも注目を集める要素だったと思われる。
(20201002)

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