女人哀楽

1932年 映画脚本・原作

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原作:吉屋信子
脚本:水島あやめ
監督:佐々木恒次郎
撮影:青木勇
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
藤川絹子 坪内美子
父通胤 武田春郎
母わか 青木しのぶ
弟彰 菅原秀雄
脇坂平兵衛 新井淳
民子夫人 吉川満子
息子広太郎 日守正一
泉俊作 奈良真養
娘恵子 荒木春子
樺山麟之助 竹内良一
酒井清 小倉繁

ジャンル:文芸もの、サイレント、10巻
封切日:昭和8年10月12日
封切館:浅草帝国館

【あらすじ】
藤川絹子は、弟彰が危難にあった時、樺山麟之助という青年と知り合う。女学校を首席で卒業した絹子は、東京の脇坂家に勤める父の住宅に帰り、女子大に入学する。そんなある日、絹子は脇坂家の息子広太郎に誘われ、帝劇に出かける。樺山に会った絹子は、彼が父を亡くして今は親戚の家に寄寓していると聞く。
脇坂の関係会社の社長泉俊作の令嬢恵子は、広太郎が絹子に恋心を抱いていると知り、彼に恋愛指南を授ける。しかし、広太郎が絹子に贈った時計の一件から脇坂夫人の気をそこない、そのせいで執事藤川通胤は脇坂の口添えで会社に勤めることになる。ある日のこと、藤川が会社で倒れる。
脇坂平兵衛は泉を訪ね、息子広太郎の嫁に絹子を貰いたいが、泉家の養女ということにして周旋してほしいと懇願しているとき、藤川が危篤に陥り、駆けつけた両人は藤川の後事を引き受けることになる。
父の急死は絹子の運命を変え、彼女は泉家の養女として広太郎と結婚する。そして間もなく、脇坂も死去し、絹子の母は門司の従兄を頼って彰とともに出立する。いっぽう広太郎夫妻は、恵子の父に伴われ樺太の会社の視察に出かける。そこの工場説明者こそ、絹子にとって忘れることもできない樺山麟之助であった。絹子の苦境は深められていくのだが……

【解説】
吉屋信子が雑誌「婦女界」に連載した長編「女人哀楽」が原作。「空の彼方に」「暴風雨の薔薇」に続く三作目の吉屋信子作品。
インテリの女性が古い道徳に従い、一家の犠牲になって生きていく中で、一人の男を目覚めさせていくというストーリーであり、「この映画は、如何に、通俗小説の映画化が失敗に帰するか、と云うことのいい見本を示している」と北川冬彦は厳しく批評している(「キネマ旬報」昭和八年十一月十一日号)。
(20201008)

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