1929年 映画脚本・原作

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原作:簡易保険局
脚本:水島あやめ
監督:清水宏
撮影:杉本正次郎
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
村田原作 新井淳
妻お吉 高松栄子
娘お光 高尾光子
大木重吉 清水亮太郎
お千代 三浦時江

ジャンル:宣伝映画、サイレント、4巻
封切日:昭和4年8月1日
封切館:浅草帝国館

【あらすじ】
村で評判の実直者源作が、朝もやの中を鎮守様にお参りに行くと、どこからか赤子の泣き声が聞こえてくる。杉の木の元に、赤子が捨てられていた。家に抱いて帰った源作は妻と相談し、お光と名付けて育てることにする。十五年が過ぎた。美しくてよく働く評判娘に成長したお光は、源作夫婦の深い愛情に育まれ、幸せに暮らしていた。
ある日、この村に大木重吉という男がやってくる。重吉がお光を見かけ茶屋で尋ねると、源作が親戚からもらった娘で十五歳だという。茶屋を出た重吉は、思い出の鎮守の境内を歩いてみる。十五年前、若くして妻を亡くし、貧しさのあまり赤子を置き去りにしてしまったのだ。心がすさみ切った重吉は、娘を食い物にしようとするが、源作のお光への深い愛情を見て思いとどまる。そして、わが子の幸せを祈り、二度とこの村には来るまいと決心する。
一年後。源作のもとに、見知らぬ男から手紙が届く。病で余命いくばくもない重吉が、わが子に会わせて頂きたいと頼んできたのだ。源作はお光を重吉のもとに連れて行き、お光は病床の重吉と再会を果たす。あの日以来、重吉は心を入れ替えて働き、貯金した簡易保険の通帳をお光に渡すのだった。

【解説】
京都から東京に戻った高尾光子のために、水島が特に執筆したもので、伊豆の古奈方面でロケを行った。監督の清水が「在来の少女物の陥り易い単調さや安価なセンチメンタリズムから少しでも脱して相当見堪えある大衆的な少女映画にして見たい」と撮影に臨んだ作品(「蒲田週報」昭和四年七月十四日号)。
フィルムは現存する。
(20201005)

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