美しき愛

1931年 映画脚本・原作

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原作:水島あやめ
脚本:水島あやめ(松崎博臣という記録もある)
監督:西尾佳雄
撮影:小田浜太郎
製作:松竹蒲田撮影所

【配役】
お糸 高尾光子
妹お妙 藤田陽子
父 河村黎吉
母 早見照代
常さん 吉谷久雄
上田 大国一郎
その妻 吉川満子
その娘 高峰秀子
獣医 仲英之助
医者 河原侃三
魚屋 堺一二
常さんの母親 青山万里子
常さんの幼時 青木富夫

ジャンル:少女もの・教育劇、サイレント、4巻
封切日:昭和6年2月22日
封切館:浅草松竹館

【あらすじ】
上田夫妻は、やむを得ない事情から乳児を田舎の村に残して姿を消してしまう。十数年がたった。少女はお糸と名付けられ、養父母や村の人々の愛情に育まれ、お妙という妹もできて幸せに暮らしていた。ところが、養父が重い病気にかかってしまう。しかし、貧しくて手術する金もない。そのうえ、農作業の働き手である牛も死んでしまい、一家は窮地に追い込まれる。心配した近所の常さんが自分の馬を家畜保険に入れ、信用貸しでお金を工面して助けようとする。そんなある日、突然村に、成功した様子の上田夫妻が訪ねてくる。上田夫妻は養父母に過去を詫び、お糸を引き取りたいと頼む。上田夫妻は、これまで養育してくれたお礼にとお金を渡そうとするが、養母は「そんなつもりで育ててきたわけではない」と断る。そして、養父母はお糸の幸せを思って、上田夫妻の戻るようにお糸を諭すが、お糸は「海の母より育ての親」と、いうことを聞かない。いっぽう、母から頼まれた妹のお妙は父の手術代を得るために、東京に出て踊子になるという。お糸はお妙を引き留め、代わりに自分が踊子になろうと決心して家を出る。お糸は、偶然駅で上田夫妻と出逢う。お糸から事情を聴き、お糸の養父母と妹への深い愛を知った上田夫妻は、養父母に孝行するようにと三百円を渡して、村を去るのだった…。

【解説】
タイトル「美しき愛」は「うるわしきあい」と読む。
「蒲田週報」は、「全篇哀愁悲憐の傑作篇」といい、「撮影の明快にして画趣多き事、正に斯界の範たる物」「全四巻の短編中には少女の真情、母性愛の高唱、家畜に対する愛等、幾多の教示訓育あり、教訓劇として各方面よりの推賞賛辞を集めている」と自画自賛している(昭和五年十二月二十一日号)。フィルムが現存する。
(20201007)

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